社会保険労務士として労務・人事コンサルティングをしていると、様々なトラブルを経験します。私は経営者と従業員のトラブルなのですが、どれもこれもヒヤリングを重ねていくときっかけは本当にささいなものばかりです。初動対応をしっかりしていればこんな大事(ときには裁判沙汰)にはならなかったのにな、と思うものもあります。また、私は会社顧問の社会保険労務士ですので経営者から相談を受けるのですが、経営者からの話なのでもちろん従業員のことを悪いように話してきます。話を聞いてみると法令的にアウトというのは実はあまりなく、多いのが「なんとなく嫌い、生理的に無理」といった感情的な表現のものが多く、どのように解決すべきか悩むものが多いです。私の場合、従業員からも話を聞くようにしており、従業員から話を聞いてみるとこれまた経営者とは違うことを言ってくるのです。
結局のところ「もっと二人で話し合えば、コミュニケーションをもっととれば」といったアドバイスが最適なのでは、と思います。しかし、会社から顧問料をもらっているのでそういうわけにはいかず、私が間に入って落としどころを見つけて解決に導くようにしています。こういった相談をいただく場合はもう修復不可能なところまで行っているケースが多く、従業員が退職していくケースがほとんどです。ですので、従業員に誠心誠意向き合い従業員の言い分をよく聞いた上で、このままこの会社で働き続けることにメリットはなく、退職し次のステップに向かった方が貴方のためであること、退職に関しては会社としてできる限りのことをさせてもらうこと、例えば年次有給休暇を使い切ることや、次の就職先が決まるまで欠勤でも給与を保障すること、などです。
ここで重要なのは「私は貴方のことを理解していますよ」と寄り添う姿勢を見せることです。相手は会社を敵だと思っているため、会社に雇われている顧問社会保険労務士も敵だと思うはずです。そうなっては交渉もうまくいかないため、私が会社と従業員を繋ぐ最後のパイプの役割を果たし切る必要があります。このようにして波風立てずになるべく穏便に労使のトラブルを解決するようにしています。